川喜多喬&アソシエイツ

川喜多喬
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人生の地図を眺める・・成城大学のMAP プリント
成城大学キャリア支援部の方から、MAPという小冊子をいただいた。2006年度から初めて今年5年目を迎えた、学生から社会人への移行を準備させていく自律支援活動の報告書である。MAPはMy Advanced Projectの頭文字とのことだが、冊子の中に発案者の言葉で書かれているが「地図」からきていることは容易に想像がつく。 「地図」は自分が生きる世界の地図であろうし、その地図には白紙のところもあろう、線と 点と記号などで推測しつないでいくべきところもあろう、また新たに道をつくるべきところもあろう、しかし地図なしに世間に出ていくことは危うい。地図に目 標地点が書いてあるわけはない。目標地点は自分で決める。しかし到達の道は地図上で探さねばならない・・・キャリアを階段とか綱渡りにたとえるよりも、お もしろいアナロジーである。

キャリア教育、というと教員や外部講師が学生に教えるべきもの、といったニュアンスを感じ取る人もあろうが、教えがいのある人になることは第一歩だが、教わり続けねばならぬ人は、今後の知識経済のなかの組織では低く評価されるであろう。自主的に学習し、またそういう学習仲間と一緒に育つ力が求められるであろう。とはいえ、さあそういう集団を作りなさい、といってもデキるものではない。ゼミはしばしばそういう場ではあろうが、私の見聞きするところ、教員の個人的な趣味ではないかといったテーマに学生を動員して蛸壺となるゼミも多いようだ。

「MAP」を読んで感心したのはまず、成城大学のキャッチフレーズを自分たちで考えさせること。これは企業で言えば社員自身に理念や社是また企業の個性を考えさせる活動に匹敵する。デキアイのものを暗唱させるのではなく。

次におもしろいと思ったのは世代間それぞれ向けの工夫と、そして世代間の連携である。最近の若者は同世代の仲良しクラブに閉じこもりがちだと言われるが、まあそういう若者が天然自然といるわけではない、周りの刺激一つである。先輩が後輩を育て、後輩が先輩に聞きもし、また聞き手となることで話し手自身を育てる。そうした力は学校より世代が重層的に重なっている組織の中で生きる力でもある。大学4年だけの間での世代間連携も重要だが、所詮4年の範囲。付属中学高校のある大学でもかつてはその間の学生同士の話し合い、助け合い、共同作業はごくごく限られていた。しかし成城大学はそういう幅広い世代間連携を続けている。

この雇用不安の時代、キャリア教育という悠長なことをやっていないで就活に絞れ、と言うものも大学にはいるだろう。現に私自身もH大学の管理職や上司にあんたのキャリア教育はすべて失敗と言われて、キャリアセンターを去った。そうであるだけにいっそう、息長く活動を支援している成城大学キャリア支援部がうらやましくなった。もちろんであるが就活支援をここがより軽視しているということではない。ただ就職を越えた先で組織が採用してよかったと評価する力、それは就活の時期だけでは育ちきらないものである。ここが大切なところである。

なお最後になってしまったが「MAP」は職員の方がお世話をしているが学生たちの手作りである。その手作り感覚に溢れた本である。組織の中の職場小集団活動に匹敵する。この冊子の最後に編集者である学生たちの座談があるが、その中に「自分×仲間=成長」がこの冊子のコンセプトとある。私の周りの教員に「自分への閉じこもり=停滞」に陥っていある者が散見されるのと好対照である。
最終更新日 ( 2010/09/14 Tuesday 17:26:20 JST )
 
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